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派遣社員も『休業手当』を受け取れる?!計算方法やシチュエーション別に解説します

労働を行ううえで、やむを得ず休むことがありますが、その休みに対し休業手当が支払われるケースがあります。
正社員や派遣社員といった雇用形態によって違いはあるのでしょうか?
支給条件があるのか、支給額はどれくらいなのか、など疑問を抱くことも少なくありません。

今回は、派遣社員の『休業手当』について、計算方法や支給の対象となるケースについても解説していきます。

■『休業手当』について

まずは『休業手当』について解説します。
『休業補償』との違いについても確認しましょう。

『休業手当』とは?

『休業手当』は、「使用者の責に帰すべき事由により休業した場合に労働者に支払われる手当」です。
つまり、企業や事業者の都合や指示により、労働者を休業させた場合に支給される手当のことです。
『休業手当』は、あくまで「企業や事業者の都合での休業」が対象です。

そのため、労働者の休みたいという意思に基づいた休業には該当しません。
また、休業期間中でも、就業規則や雇用契約などにより休日と定められている日は休業手当の支給対象にはなりません。

派遣社員は『休業手当』を受け取れる?

派遣社員も『休業手当』を受け取れます。

正規社員や非正規社員といった雇用形態の違いに左右されません。
正社員、契約社員、派遣社員、パートやアルバイト、すべての従業員が支給の対象となります。

『休業補償』との違いは?

『休業手当』と『休業補償』は言葉は似ていますが、異なるものです。

■休業手当
休業理由・・・企業や事業者の都合
所得税・・・課税

■休業補償
休業理由・・・労働者の都合
所得税・・・非課税


『休業手当』は、労働者が所定の労働日に働く意思と能力があるにもかかわらず、企業や事業者の都合で労働できない場合に、労働者に対して支給される手当のことです。『休業手当』は給与と同じく所得になるため、課税対象となります。

一方で、『休業補償』は、業務上のケガや病気により労働者が働けない状態にある(休業する)場合に、労災保険から支給されます。『休業補償』は保険給付となるため、課税対象外(非課税)となります。

■『休業手当』の受け取りについて

次に、『休業手当』の計算方法や受け取り方について解説します。

『休業手当』の計算方法

派遣社員の『休業手当』を計算する上で『平均賃金』を知る必要があります。
派遣のお仕事は時給制の場合が多く、毎月の賃金が変動しやすいため、計算方法を把握しておくことが大切です。

①休業開始日の直近3ヵ月の賃金総額÷その期間の暦日数
②休業開始日の直近3ヵ月の賃金総額÷その期間の労働日数×60%
⇒①②の金額が高い方が『平均賃金』となります

【 例 】
会社指示により、6月に10日間休業した場合
・時給:1,500円 
・勤務時間:1日7時間( 残業なし )
・直近3ヵ月の出勤日数( 3月=22日/4月=20日/5月=18日 )

この場合、直近3か月の賃金総額は
1,500円×7時間×(22日+20日+18日)=630,000円となります。

①総暦日数で計算 (3~5月=92日)
 630,000円÷92日=【 6,848円 】
②労働日数で計算 (3~5月の出勤日数=22+20+18=60日)
 630,000円÷60日×60%=【 6,300円 】
⇒①②の金額が高い方は①になるため、この場合の1日あたりの平均賃金は【 6,848円 】となります。

さらに、休業手当は平均賃金×60%以上×休業日数で計算されます。
休業手当を60%と定めている場合、
6月に10日休業しているため、
6,848円×60%×10日=【 41,088円 】が『休業手当』として支払われます。
(※休業手当は給与と同じ扱いになるため、課税対象となります。)

派遣社員が『休業手当』をもらう手順は?

『休業手当』をもらいたい場合、まずは派遣会社(派遣元)の担当者に連絡してください。
『休業手当』は、派遣先ではなく雇用主となる派遣会社(派遣元)が支払うためです。

派遣先から休業指示があった場合、いつ・どういった内容の指示があったのか、派遣会社(派遣元)へきちんと報告できるように控えておきましょう。
また、派遣会社(派遣元)へ連絡する際は、支給額や支給日も合わせて確認しておくと安心ですね。
通常、『休業手当』の支給方法は、給与と同様の支給日・支払い方法になります。

■シチュエーション別!派遣社員の『休業手当』

『休業手当』を受け取れるケース・受け取れないケースがあります。
シチュエーション別にみていきましょう。

『休業手当』が支払われる場合

先にも述べたように、『休業手当』は、使用者の責に帰すべき事由により休業した場合、つまり、企業や事業者の都合や指示により労働者を休業させた場合に支給される手当のことです。

例えば、以下のようなケースがあります。

・企業側の故意または過失による休業
・経営不振、資材不足による休業
・設備や工場の機械不備、欠陥、検査等による休業
・親会社の経営不振を受けての休業
などが該当します。

『休業手当』が支払われない場合

反対に、支給の対象とならない休業もあります。
企業や事業者の都合で労働者を休業させた場合以外の休業、不可抗力で休業した場合については、支給対象となりません。

例えば、以下のような場合があります。
・天変地異(台風や地震など)による休業
・外部要因で発生したケガや病気による休業
・事業者が最大の注意を払っても回避できなかった休業

不慮の事故や事件に見舞われた場合など、事業者にとって回避できないと判断された場合は、支給対象となりません。

新型コロナウイルスを患った場合

新型コロナウイルスに関する休業についても、支給の対象となる場合とならない場合があります。

事業者・労働者・利用者などが新型コロナウィルスに罹患し、休業しなくてはならない状況に陥る場合もあるでしょう。
この場合の休業は、事業者の責任にあたりません。
つまり『休業手当』の支給対象とはなりません。
(『傷病手当』の対象となりますので、派遣会社(派遣元)に確認してください。)

緊急事態宣言を受けて休業した場合

新型コロナウィルス感染症に関する緊急事態宣言の発令により、休業要請を受けたことによる休業は、事業者の責任ではない不可抗力による休業となるため、『休業手当』の支給対象とはなりません。

■まとめ

『休業手当』の支給は、正社員や派遣社員といった雇用形態に関係なく対象となるものです。

しかし、急な休業指示があった場合には、混乱してしまうことも想定されます。
そういった場合でも、リバティーでは派遣スタッフの方へのお知らせを徹底しているだけでなく、随時相談も受け付けています。また、安心して就業していただけるようノウハウもそろえていますので、遠慮なくご相談くださいね。