【業界・業種別】 貿易事務の種類と仕事内容とは? | 知りたい!貿易事務のこと | リバティーのお役立ち通信

お役立ち通信

【業界・業種別】 貿易事務の種類と仕事内容とは?

貿易事務の仕事は、主に英語を使い、商品や物資の輸出入に必要な書類を作成したり、海外企業や関連業者とのやり取りをすることです。
とはいえ、国際物流にはさまざまな企業が関わっており、同じ貿易事務職でも、就職先によってその仕事内容は大きく異なります。

大きくは、次の2つに分けられます。
①輸出入の荷主であるメーカー・商社での貿易事務
②メーカーや商社から依頼を受けて輸出入の手配を代行する国際物流関連企業で貿易事務

ここでは、メーカー・商社と、4つの物流関連企業をピックアップし、各企業の役割と貿易事務の仕事内容についてご紹介します。

メーカー・商社での貿易事務

 

メーカー・商社の貿易事務の仕事内容

メーカーでの貿易事務の仕事は、主に自社製品の輸出入に関わる手続きです。国内で生産した製品の輸出、あるいは、海外工場で生産した製品を日本へ逆輸入する際の事務処理を行います。また、例外として、国内だけで生産・販売をしているメーカーの場合でも、原材料や部品を海外から輸入するというケースもあります。
一方、商社は、メーカーの代理店として商品の輸出入を行います。ですから、商社の貿易事務では、海外メーカーの商品を日本に輸入したり、国内メーカーの商品を海外に輸出する際の手配やそれに伴う事務処理を行います。
一般的には、メーカーでの貿易事務は輸出業務が多くなり、商社での貿易事務は輸出と輸入の両方に携わることが多くなります。

双方とも、具体的な業務としては、海外企業とやり取りしながら、商品の受発注や納期調整、船会社への手配、貿易関連書類(インボイス、パッキングリストなど)の作成などを行います。
輸出または輸入の一連の流れに関わるため、担当する業務が非常に幅広く、勤め先によっても業務範囲が大きく異なります。
会社規模が大きくなるほど業務が細分化されており、個人の担当範囲は狭くなります。逆に、小規模企業になると幅広い業務を自分一人で担当するような場合もあります。

こんな人におすすめ

メーカー・商社での貿易事務は、どちらかといえば、多くの人たちと関わりながら仕事をしたい人に向いています。というのも、事務職ではありながら、書類作成業務ばかりではなく、社内外のさまざまな人たちとの連絡や交渉の機会も多いからです。
海外の取引先、運送業者や貿易仲介業者、社内の営業部門や製造部門など、関係する人たちと日頃から良い関係を築けるよう、コミュニケーションスキルが求められる仕事です。

一方で、コミュニケーションスキルという面では、国内での営業事務経験なども活かせるので、貿易事務の未経験者でも挑戦しやすいという特徴もあります。
商社・メーカーには「貿易事務アシスタント」として求人を出しているところも多いので、未経験から貿易事務職へに就き、少しずつステップアップしていきたいと考えている人にも向いています。

通関業者での貿易事務

 

通関業者の貿易事務の仕事内容

海外企業との取引において、税関手続き(通関)は避けて通れません。
輸出入する商品や物資が法令・規制違反に当たらないかを確認したうえで、関税や消費税がどれだけかかるのかを正しく計算し、国に申請します。国から許可を得ることで、はじめて物品を動かすことができます。
通関業者とは、商社やメーカー、船会社・航空会社などから依頼を受け、この一連の通関業務を代行する業者です。

通関業者での貿易事務の仕事は、通関書類の作成が主になります。基本的には通関書類の作成に特化しており、輸出入に関する書類作成はほぼありません。
また、依頼主や倉庫会社、船会社・航空会社などと交渉しながら輸送手続きを進めていきますが、海外取引先との直接のやり取りはありません。比較的狭い範囲での専門性の高い仕事だといえます。

こんな人におすすめ

通関業務は貿易において非常に重要な仕事です。関税の計算が間違っていたり、手続きに不備があると、輸送中の貨物が足止めされてしまったり、後から追加で関税がかかったりと、トラブルの原因になります。
そのため、ひとつひとつの物事をミスなく確実に処理していける、慎重な人に向いています。
キャリアとしては、通関業者の貿易事務は、貿易事務の仕事の中でもかなりの専門知識が必要なポジションなので、狭く深く専門性を磨いていきたい人に向いています。
経験を積み、将来的に通関士の資格を取得すれば、キャリアの選択肢は大きく広がります。

NVOCC・フォワーダーでの貿易事務

 

NVOCC・フォワーダーの貿易事務の仕事内容

NVOCC・フォワーダーとは、商社やメーカーから依頼を受けて、依頼主と輸送業者との間に立ち、輸出入や通関業務、運送手段の手配など、輸送業務全般をコーディネートする仲介業者です。
自社では輸送手段や倉庫を所有せず、別会社の輸送手段を利用します。
運搬手段に船会社を利用するのがNVOCC、航空会社を利a用するのがフォワーダーになります。

NVOCC・フォワーダーでの貿易事務の仕事としては、輸送会社への手配とスケジュール管理、輸送関連書類の作成、税関対応、輸出入貨物の管理などがあります。
貨物の出発から到着まで、輸送に関わる一連の業務に携わります。

こんな人におすすめ

NVOCC・フォワーダーの貿易事務への就職は、貿易事務未経験者には少し厳しくなります。貨物の出発から到着まで、貿易事務に関する広範囲な知識が必要なうえ、依頼主と運送業者との仲介をするので、双方から来る急な変更に臨機応変に対応できる能力も求められるからです。貿易事務初心者の場合、全体の流れがつかめておらず、このイレギュラー対応が難しくなってしまいます。
実際、NVOCC・フォワーダーの貿易事務の求人情報の多くが、貿易事務経験者に限定されています。そのため、NVOCC・フォワーダーの貿易事務は、これまでに貿易事務の経験があり、スキルアップ転職を考えている人に向いています。

船会社・航空会社での貿易事務

 

船会社・航空会社の貿易事務の仕事内容

船会社や航空会社では、自社が保有する運搬手段を使い、輸出入者の貨物の運送を行います。数ある航路・航空ネットワークの中から、輸送貨物に合わせた最善ルートを提案し、安全・迅速に輸送します。
輸出入に必要となる書類の作成や通関手続きは、NVOCCやフォワーダーが行うため、船会社・航空会社での貿易事務の仕事は、依頼主や外部の協力会社とのやり取りが中心になります。
輸出入や通関に関する業務はなく、運賃の見積もりや輸送スケジュールの調整、積み込みや荷下ろし、入出港する港との交渉など、輸送に直接関わる業務がメインとなります。

こんな人におすすめ

船会社・航空会社での貿易事務は、「輸送」に関わる業務がメインになるため、貿易取引全体の流れからいえば限定的です。
輸送のコーディネートや輸送そのものを行う際に必要な手配や書類作成が仕事になるので、自社内での調整が多く、貿易事務未経験者でも比較的働きやすいといえます。
未経験者OKで、貨物に関するデータ入力や定型的なオペレーション業務など、簡単な事務作業から慣れていけるような求人もあるので、未経験から経験を積んでいきたい人にもおすすめです。

海貨業者(乙仲)・倉庫会社での貿易事務

 

海貨業者(乙仲)・倉庫会社の貿易事務の仕事内容

海貨業者(乙仲)や倉庫会社では、メーカーや商社の輸出入に関する業務を代行しています。財務大臣の許可を受けて、通関業務(税関申告や法令手続き)を併せて行っているケースも多くあります。
海貨業者(乙仲)は港湾で海運貨物の受け渡しを行い、倉庫会社は通関手続きが完了するまで一時的に輸出入貨物を自社倉庫に保管します。

海貨業者(乙仲)や倉庫会社での貿易事務の仕事は、輸出入貨物の通関書類作成、積み込みや荷下ろしに関する一連の業務がメインになります。
貿易取引に深くは関わりませんが、貨物の受け渡しや管理など、外部と現場とをつなぐ役割を担い、貿易取引のルールや通関までのフローを学ぶことができます。

こんな人におすすめ

海貨業者(乙仲)・倉庫会社での貿易事務も、船会社・航空会社と同様、業務範囲が限定的です。
船会社・航空会社では「輸送」に直接関わる業務がメインだったのに対し、海貨業者(乙仲)・倉庫会社では「貨物の受け渡し・管理」に関わる業務がメインになります。
貿易取引自体に深く入り込むポジションではないので、「貿易事務」としてではなく、「一般事務」や「営業事務」として就業することもできます。
そのため、どうにかして貿易業界に携わりたい人などは、一般事務から始めて、業務を通じて貿易関連の知識を身につけたり、貿易関連の資格取得をしながら、貿易事務へのステップアップを目指すのもひとつの方法です。

まとめ

貿易事務と一口に言っても、その仕事内容は、どのポジションの会社で働くかによってさまざまです。輸出入される貨物が倉庫に入り、船や飛行機に積み込まれ、運ばれていく、その一連の流れの中で、自分はどこに携わりたいのかを考え、就職先を選ぶと良いでしょう。
また、企業の規模や、あなたの貿易事務の経験の有無によっても、就職しやすいところと難しいところがあります。
上記の説明を参考にしながら、貿易事務の求人情報をチェックしてみてくださいね。